ARCHIVE  ENTRY  COMMENT  TRACKBACK  CATEGORY  RECOMMEND  LINK  PROFILE  OTHERS
<< July 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
2017.07.31 Monday

夢の中のできごと

昔々、長野県塩尻の桔梗が原というところに、狐が住んでいました。

その狐は『げんばのじょう』という名前で、人々をだまして楽しんでいる狐です。
雨も降っていないのに人々に傘をささせたり、馬のフンをぼたもちだと思わせて食べさせたり、畑を池と思わせて溺れさせたり・・・
げんばのじょうは、この辺りの狐の中でも最強のリーダーでした。

げんばのじょうがちょっと大がかりないたずらをしようと誘えば、ほうぼうの偉い狐たちもやってきて一緒に人間をだまして楽しんでいました。

ところが『げんばのじょう』も年をとり、ある日、桔梗が原を突っ走る黒い大きな化け物がやってきました。

その化け物は無言で煙を吐き出し、仲間の狐は何匹もひき殺されてしまいました。

『げんばのじょう』は仲間の狐と協力して、その黒い化け物に戦いを挑みましたが狐たちはみんな死んでしまいました。

なぞなぞのようですが、その煙を吐く黒い大きな化け物は機関車のことです。

そうして機関車にひき殺された狐を供養するお祭りが『げんば祭り』長野県塩尻の市民祭りとなっているのだそうです。
「ちょうど、げんば祭りだでね。おじちゃん、昔、狐のお面かぶって踊ったでね」
そのおじさんの一周忌がありました。
そして思いがけず誘われて94歳の母が子供の頃お世話になったおばさんの家に立ち寄らせていただきました。
おばさんは元気でたくさんの懐かしい話を聞きました。
こういう話はゆっくりゆっくり聞きたいけれど
この後、「心技体」仲間が演奏している発表会を少しでも聴きに行こうと思っていたので慌しく
でも時間は優しく流れました。
昔の暮らしは厳しく、そして人間関係は複雑です。
生きることのできた人。死んでしまった人。
謎が少しだけ解けたような気がします。
狐の伝説については帰ってから調べたのですが
私は確かに、この話を聞いたことがあります。
塩尻に駅を作るということで多少なりとも私の祖先は尽力しているはずです。
この日は、そのまま東京に帰って来て「心技体」の打ち上げに参加させていただきました。
演奏が聴けなかった分、朝まで演奏の様子や本番を迎えるまでの、いろいろなことを語り合い、
それぞれの夢や想いがぐるぐるしました。
朝まで喋ったから朝帰り。
26時間ぶりに家に帰ってお昼まで眠って
目が覚めたら何もかもが夢の中のできごとのようで、ふんわり涙が出ました。
狐にばかされたのかな?
Powered by
30days Album